Ms. Leshchenko Ksenia クセニアさん
ロシア、モスクワ生まれ。7歳から英語が好きになったが、学校での英語教育は良くなく、興味も持てなかった。モスクワ言語大学で英語を、モスクワ州立大学のアジア・アフリカ学部で日本語を学ぶ。2004年、2007年、2010年にそれぞれ、龍谷、早稲田、法政大学で、日本語の集中コースを受ける為に留学生寮でくらす。 現在は法政大学のマスターコースで学んでいる。国際交流のイベントや旅行、スポーツ(特にテニス)が好きで、世界中から来た多くの友達がいる。
Mr. David Boughton
イギリス・ロンドンで生まれる。バーギンガム大学で物理を学び卒業後、ロンドンで3年働く。日本に旅行できた後、日本で働くことを決め日本に戻ってきて、現在に至るまで20年以上英語を教えている。 サッカーを見るのもするもの好きで、ギターで音楽を作曲することも好き。心理学を学ぶことや創造性や簡潔さ/simplicityに大変興味をもっている。
Topics 1 Benefit of learning English in my life as a Russian
1) With English I could re-discover my own country
“私の出身地モスクワは、地図で見てわかるようにヨーロッパやアジアに近い。2004年に初めて日本に来て、ここで初めて英語のネイティブスピーカーにあったし、世界中からの人々に出合った。一番驚いたことは多くの国の外国人と話してみて初めて自分が自分自身のアイデンティティーに気付いたことだ。 他の国のマナーや伝統を見て、自分の国の伝統や文化の特徴をより深く感じ始めた。例えば、ロシアでは日本のようなお花見の伝統はない。ロシアでは誕生日に沢山の料理を作って食卓に置くが、ヨーロッパの人々はワインとチーズなどのスナックを持ってくる伝統のようだ。ロシアのクリスマスやイースターや他の祝日の祝い方も違っている。その他もっともっと違うことが沢山知った。私は自分の国により明確でより良いイメージを持っていると感じた。 英語は私にとって、自国を発見させてくれるものだった。
2) With English I could speak about Russia and give people from other countries information about my country
2番目のことは一番に続くものだ。多くの外国人はロシアについてほとんど知らないと分かったことだ。多くの人の知っていることはマスメディアからの一連の決まり文句や使い古されたフレーズだ。例えばロシアはいつも寒くて、だれもがウォッカを飲んでいるとかで、それは勿論絶対間違っている。だから(そんな時に)英語を通してロシアの正確な情報を話すことは私にとって良い機会だった。留学生寮の生徒は(寮の)ラウンジに座ったり、カフェに行ったりして、それぞれ自分の国について話しをするのが好きだった。
我々は皆好奇心に満ちていた。私の友人は沢山ロシアについて質問してくれたし、私はそれに答えることができて幸せだった。もし私が英語を理解できなければ、それらの話に加われなかっただろう。
知らない言葉があれば、辞書を使った。いつも辞書を持ちあるくことは私の新しい習慣になった。私の勉強は途切れることはなかったし、いつも集中していた。
私は又自分が自国を代表しているような大きな責任を感じた。何故なら私の友人の多くは、私が彼らの人生で初めてであったロシア人だったから。
私は彼らが私によって全てのロシア人について判断するだろうと感じた。
3) With English I can learn the stories of people from any country in the world and I can feel the whole world to be open for me
最後にとても大事な理由。それは英語を通して世界中の色々な違った国の人の話を聞くことができると言うことだ。私は人が好きで、彼らの話を聞くのが好き。誰もがそれぞれユニークな経験をしている。他国の人は違った精神性や文化背景を持っているので、又ユニークな文化を持ちユニークな経験をしている。
それゆえ私は英語という言語を通して、私が出会った全ての人から知恵を貰うことができた。
たとえどんなに遠く離れていて馴染みのない国からの人であっても、もしその人の国の言語を知らなくても、私がその国に行ったことがなくても、英語でその人とコミュニケーションをとることができるだろう。
私は2つのインターナショナルハウスに住んで、アジアやラテンアメリカやヨーロッパやその他の国から来た人と出会った。それらの友人の中で興味深い話をした大変素晴らしい人がいた。その中にカンボジアの電気も水道もない大変小さな村から来た少女がいた。彼女は外国語を学ぶことが好きで、近くの町の図書館から借りた本を使って自分で英語を勉強していた。そして1冊の雑誌を見て日本の文部省の奨学金について知った。彼女は“日本に来たい。そして日本語を勉強したい。”と思い、カンボジアの日本大使館を通じてそれに申し込んで、1年間勉強する為に日本にやってきた。彼女は一生懸命に勉強したが、1学期間しか勉強できなかった。何故なら学期試験にパスしなかったからだ。多くの言葉(日本語)は彼女にとって難しかった。
例えば銀行のシステムやコンピューターやインターネットについてのカタカナの言葉など。
彼女の村には銀行もコンピューターもなかった(電気もなかったので)。彼女は当時正しい日本語が話せなかったので、私たちは英語で話した。結局彼女が国へ戻ることになった時は、私は悲しかった。
何故なら彼女はとても活発でやる気に満ちていて聡明な人だったから。
しかし何年か後にフェイスブックを通じて彼女の方が私を発見してくれ、彼女がカンボジアの首都に住み、国連のある部門で働いていると告げた。彼女は今は英語もフランス語も話すことができ、インターネットや銀行も使える働き手として成功していた。彼女の日本での経験が彼女を励まし、村から首都に移り住み働き始め、21世紀に必要な知識を得る為に勉強をしたと、書いていた。彼女の話に私は大変感動した。私も他の友人も又、彼女の話に勇気付けられた。
もし何も知ろうとしなかったなら、彼女が勉強を続けなかったら、人生の敗者のようになっていたかもしれない。何か新しいことを知り、何か大きなゴールを自分で設ければ、それはチャンスになる。彼女はそうして、それにたどり着いた。いつの日か彼女が日本に来て、又めぐり逢えたら、英語でコミュニケーションが取れると思う。
私は、他にも日本で外国から来た友人の沢山の素晴らしい話を聞いた。私は英語という言語なしには彼らを知ることはできなかった。
英語を話す能力を得て、今、私は全世界が私の為に開いていると感じている。
たとえどんなに遠く離れていて馴染みのない国からの人であっても、もしその人の国の言語を知らなくても、私がその国に行ったことがなくても、その人がここにいて私もここにいれば、その人とコミュニケーションをとることができる。英語は、そのような状況でコミュニケーションを取れる最もいい方法だと思う。
皆さんも英語を学んで使って頑張ってください。
主な意見や質問
O(opinin意見 以下省略)
2010年に家族でロシアに旅行してから、家族皆ロシアが好きになった。さて50年前の今日1963年6月16日は、世界で初めてソ連(当時の国名)女性宇宙飛行士が宇宙に行き、地球と交信した記念すべき日だ。
O カンボジアの女性の話に感激した。何も持たないで生まれて、彼女は努力して、(彼女にできる)全てを発見し全てを学んだ。これは、自己啓発し、自分を発展させようとする日本の若者にとって、とても良い話だ。
A 家に帰ったら、このお話を周りの人にして下さい。
O (David さんの意見) 私はロンドン出身だが、ロンドンには沢山の外国人がいる。多分ここ日本よりももっと。
しかしわたしも日本に来てから、ロンドンのことを多く話なさければならなかった。 ロンドンのことを日本に来てから以前とは違った見方で考えるようになった。自国にいると、なんでもそれが当たり前だと思う。何が他の国から興味があり、何が違うのか?などと考えない。自国のことを良く考えるようになるし、又他国の人々がもつロンドンの間違った情報を訂正することにもなる。料理はそんなに悪いわけで話し、いつも雨が降るわけでもない(笑)。
Q (question 質問)
実際の所のロシアでの日本の情報はどうですか?
A(answer 答え) だいたいロシアでの日本の情報は正しくない。もっと言えばひどいものだ。これは多分に政治的なものだと思うが。実際は巷の人々は日本に良いイメージを持っている。彼らは日本の車や電化製品が好きだ。
モスクワは日本から遠いから人々は政治的には日本に興味がない。極東のウラジオストックなどのロシア人は興味があると思うが。
モスクワの人からすると極東に行ったことはないから、そこに住むロシア人を何だか外国人の様に感じている。ロシアはウラル山脈で2つに隔てられていて、我々はお互いに“ウラル山脈の向こうの人”と、呼び合っている。私は日本に来て初めてその地域のロシア人に逢って良かったと思う。
日本に関して言えば、ロシアの人は文化には興味がある。映画やアニメが好きで、沢山の催しがあり時には有名なディレクターや俳優もやってくる。
Q 日本ではロシアの人には漢字が人気があると聞くが?
A 漢字は美しく記号や絵の様に見える。我々はアルファベットしかなく、シンプルだが、漢字は洗練されているように見える。若い人は刺青に漢字を入れたがる。その刺青は1ヶ月くらいで消えるものだから又、別の漢字を入れる。皆は日本語も中国語も知らないが、最近中国語の学校がモスクワにできて、漢字を習っている。しかし、未だ漢字は意味は知らなくともオシャレなものとみられている。
Q 北方四島は返還される可能性はあると思うか?
A これは日本とロシアの問題でなく、日本とロシアとアメリカの問題だと思う。(以下省略)
Q ロシアの女性は強いと聞いているが、どうか?
A 強いと思う。第2次大戦後、夫を亡くした多くの女性は誰の支援もなく子供を育てながら働かなければならなかった。自分で責任を持たなければならなかったから。だから60代以上の女性は強いと思う。私は日本女性も強いと思う。
日本語については日本に住むには覚えた方が良いと思う。しかし日本語は難しい。祖母が日本の研究者で、江戸時代の日本の歴史を研究していたので、私は7歳から日本語を勉強していた。
Q ロシアでは英語の授業は面白くなかったと聞いたが、貴女にとって面白い授業とは?
A ロシアの英語の先生はひどかった。数学や物理などその後の人生で使わない様な課目の授業の方がとても興味深かった。大学入学後の英語の授業は良かった。その前の私の受けたのは、ソ連時代の教育で、ネイティブスピーカーもいなかったし、その時の先生たちの受けた教育も良くなかったのだ。今は変わって良くなっている。
Q ロシアでビジネスで成功しようとしたら、ロシア語はMUSTですか?
A NO! ロシア語は難しいから英語で大丈夫だ。
O クシニアさんは英語を通して様々な国の人から“その違い、相違点”を学んだと言うことだが、私は長年世界中から来た人と接して、〝違い”だけでなく、“共通項・類似点”も知った。人として共有できる同じ感情や違った文化や背景の中に共通項・類似性を発見して、それらの人々を身近に感じた。
Topics 2 Creativity: Should schools stress this more?
1) Introduction: What is creativity and why is it important?
“私は、読書や音楽や芸術を見ることが好きだが、それらは創造性がとても重要だ。創造を定義すると〈何か独創的なものを作るために創造力を使うこと〉である。創造性は芸術的な創造物だけでなく、アイディアも又、大事だ。それは物事をよりよくするように考える時にも使える。創造力は発明家や芸術家など特別な人達のものだと思われるが、そうでない。誰でも創造的である。科学者や技術者も教師も親も日常に直面する様々な問題に対して創造的な問題解決法を考える必要があり、創造性から恩恵を受ける。
日常生活の創造的な問題解決法はインターネットの問題やビジネスの問題や経済問題を解決することだけでなく、多くのもっと違った可能性を持っている。
国際問題やビジネスのような大きな問題から旅行の計画のような小さな問題まで使える。
2) How do children’s creative skills change at school and why?
人々に色々なことを考えさせる典型的な創造性のテストは人に何かものを与え、それをどのくらいの数の違った使い方をできるかを考えさせる。
例えば、ここに段ボールの(小さな)箱があるが、中に何か入れる、車で運ぶ時に使う、郵便に使うなど以外にも沢山の使い道が考えられる。子供は特にこのようなことが得意だ。
創造性についての8つの違ったテストが行われたデータがある。
3歳から5歳の幼稚園児(106,000人)は、98%という天才レベルに近い結果で、同様に行った200,000人の大人(25歳以上)では、2%の創造性しかなかった。その子供たちが8歳から10歳になった時には創造性は30%に落ちていた。又、13歳から15歳に成長した時にはなんと12%になった。学校生活が進むにつれて、落ちたことになる。 何故だろう?
幼稚園では遊びの時間が長い。教師は生徒に柔軟性を持たせ、その柔軟性が新しい可能性を生む。しかし学校システムでは学校生活が長くなるにつれて創造性が失われる。
教師は情報を与え生徒は教科書から情報を得る。テストがあるからそれをしなければならない。違う方向から物事を考える可能性はどんどん減っていく。
3) What are some schools doing to reverse this?
我々は、しばしば論理的思考や分析的思考を求められる。それらと創造性の両方が必要だ。いくら片方があっても創造性がなければ何も生まれない。親はクラブ活動などは大切に思わない。音楽なんかよりテストをしてくれという。学校は知識に焦点を当てる。
自分で考える時間がもっと必要だし、学ぶためにも必要だ。
どうすれば生徒に創造性を奨励できるのか?
ブレーンスト-ミングが有効で、色々思いついた考えを出す。その場で直ぐに良いとか、悪いとかの評価をしないでどんどん沢山の意見を出していく。そしてその中で実行すべき1番良いものはどれか?と考え、評価する。このブレーンストーミングはどの課目にも使える。
最近、イギリスの教育は変わった。
Themed Project といって、あるテーマを与える。それは未来の世界についてだったり、旅行や町についてのテーマだったりする。生徒は自分の興味でテーマを選ぶ。
1 生徒はそのテーマについての疑問・質問を考え
2 その答えをどうやって見つけるかを考える
3 そして得た結果をどうやって他の人に知らせるかを考える
インターネットで調べたり、直接そこに長く住んでいる人々に会って話を聞いたりして、自分でそのことについて考える。
それらをレポートにしたり、図にしたり、地図にしたり、その地域の模型を作ったりして、結果を報告できる。その時には数学やその他の知識も必要とする。ビデオやオーディオを使ってインタビューし、ビデオやラジオのプログラムを作成して、教師や他の生徒と成果を共有できるなど、多くの可能性がある。もうこういうことをイギリスでは生徒が既にやっている。
さてここで今日の私のテーマだが、私は学校がもっと創造性に重きを置くべきだと思うが、あなたはどう思うか?
O 日本の学校は文部科学省で決められたことを教えるが、その文部科学省は自然の中で遊ぶこと、仲間と遊ぶこと、何かを作ること、議論する時間を与えて自分で考えることなどを目指していない。
全ての授業は生徒に情報や知識を与え、典型的な質問にどう答えるかを教えている。 これでは創造性は失われる。
A 私は日本の学校のことをそんなに知っているわけではないが、授業中寝ている子も多いと聞く。興味がわかないからだ。自分で考えさせれば、モチベーションを与えることになり、もっと興味を持つだろう。
O 大学入試は変えねばと思う。
A 賛成だ。全体の教育システムが大学入試を基礎として、沢山の知識や分析力を持つことを求める。そして大学では創造的な活動は行われていない。
イギリスの大学の英語の先生は創造的な生徒を求めていなくて、他人の創作物を分析することが、求められてている。少しは小説を書く人もいるが、大多数派は分析力だけを求められている。
なぜシェークスピアはこうしたか? 何故ディケンズはこうしたか?など。
もし、創造的になりたければ、大学に行くな。何処の国の大学入試もテストはだいたい同じだ。大学入試を変えなければ、創造性は変わらない。
Q どこの国のシステムが一番創造性を育てようとしているか?
A 比べるのは難しいし、そんなに全部の国のことを知っているわけではないが、ヨーロッではのフィンランドが一番だと思う。アジアではシンガポールや香港、韓国などが創造性を教育の中心に据えている。
Q フィンランドが良いのなら、フィンランドのやり方を日本が真似るべきだろうが、でもそれでは創造的でないやり方で創造性を得ることになるのでは?(笑)
A 日本はそれを見てどんなやりかたが日本に向いているかを、考えれば良い。日本は改良が得意だから。
O 教育は子供だけに必要なことではない。
O してはいけないことやして良いことを決めて理由を告げずに子供に言うと、制限がもたらされ、可能性がなくなる。創造性は自由な空間・余白が必要。自分達の作ったルールで縛り、創造性を損ねている。それが問題だ。
O 創造性が大事なことは確かだが、アイディアが良くてもそれを実社会で現実化・実現化しなければ意味がない。社会の中での実行することが大事。リスクを冒してもやることが大事であり、社会がそれを励ますことや勇気を持つことが必要だ。
最も大事なことは創造的なアイディアを実行するには歴史を学ぶことが必要だ、ということだ。
Q 創造力は左脳を論理的なことは右脳を使う。どうすればその左脳を発達させられるか?
A それはできるだけ使うこと。簡単なことだ。他人の曲でなく何も考えずピアノを弾く。他人のまねをしないで絵を描くなど。
Q 産業革命前と後で創造性は変わったか?どちらが創造的か?
A 産業革命後、人々は色々な考え方をし始めた。しかしどちらが創造的か私にはわからない。
Q 先日テレビでエリザベス ギルバートという女性小説家が、”創造性と可能性はあなたを上向きにさせる、それはあなた次第だ。自分にプレッシャーをかけないで、自分らしく、自分自身であれば良い”と言っていた。
O 創造性は大事だが、論理や分析力やその他のことを勉強することも必要だ。創造性を現実の製品にする。そのプロセスではある部分の創造性を失うが、しかし(そのプロセスも)必要だ。
O (クセニアさん)
ロシアでは2000年からテストが導入された。その前はテストはほとんどなかった。感想文などだった。私の卒業時には数学を含む3つしかなかった。
教師の前で話すものだった。全ての質問に口頭で答えた。全部頭の中にあったことを話した。私の世代は創造的だと思う。今はテストが導入され、創造性は下がっているから、未来が心配だ。
最後にスピーカーからの感想
クセニアさん“通常このようなイベントでは数個程度の質問が来るものだが、今日は沢山の考えさせられる質問が出て驚いた。今日は大人がほとんどで学生が少ないが、学生さんが来て英語を使えば良いと思う。
私もまた来れたら嬉しいと思う。”
Davidさん“皆さん沢山の質問をして下さりありがとう。私は一つ目のロシアの話も楽しめて、とても良かった。”
今回は定員を大幅に上回る参加者を受け入れた。回を増すごとに参加者の発言が多くなっている。中にはテーマと全然関係ない発言もあったが、
それらを除いては、議論が深まる方向に向いていると感じた。(瀬戸 信代)