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やさしい英語でディスカッション #26


International Viewpoint through English

日 時 2010年6月20日(日) 午後2時から4時
場 所 青葉区区民交流センター 会議室#5

モデレーター ヘザー 池田 さん(アメリカ出身)
スピーカー1 Mr. Malin Matus(カナダ出身)
スピーカー2 Ms Pornpayong Koga(タイ出身)



梅雨の晴れ間、参加者43名 出演者3名、スタッフ12名の総勢 58名(カナダ、タイ、アメリカ、オーストラリア、台湾、ネパール、日本の7カ国の人)が、1番目の珍しい話しと、2番目のホットなテーマに耳を傾け、英語という共通語で意見交換をした。いつにも増して、国際交流ラウンジらしいイベントとなった。
1. Do you know the Japanese woman on the Canadian $100 bill? By Mr. Daryl Dorman from Canada
スピーカー(Darylさん)が、バンクーバーとバンクーバー島との間にあるソルトスプリング島(以下SS島)の話とその島の地域通貨のシステムとその最高金額100ドル札に印刷されている日系人女性キミコ ムラカミについて語り、その後質問に答えた。(以下はスピーチ、質問、お答えをまとめて一つにしたもの)
気候やSS島の特徴は?
北海道より緯度が高いが、夏はocean breeze が涼しくしてくれ、冬は雪が降らない気持ちの良い気候で、ベリー類 strawberry, blueberry, cranberryなどやワインや野菜が特産物である。人口は10,000人だが,旅行者は300,000人、特に夏に集中する。又、様々なタイプの芸術家が住んでいる。
ソルトスプリングダラー通貨について
SS島の住民は共同体意識が強く、地域通貨を作った。これは芸術性の高い物でコレクターズアイテムでもあるので、買っても使わなければそれは平均賃金の低い島の収入になり、島で使ってもらえば島にお金が落ちる。島のビジネスの95%でこの紙幣が使える。始め2001年には有効期限2年がプリントされていたが、地元からの要望により有効期限をなくすことになり、今では永久に使えて同額のカナダドルにも手数料なしで交換出来ることが分かった。
キミコ ムラカミについて
広島から移民後漁業で成功した日系移民の子として1901年にSS島で生まれたが、小さい時に日本に来て日本で教育を受けた後にカナダに戻ったので、忘れた英語懸命に勉強した。生活が定着した時期に日本が真珠湾を攻撃し、彼女の家族は日系人故に島から出されて、収容所や強制労働を強いられ,島で築いた財産も没収された。しかし希望を捨てずに戦後島に戻り懸命に働き農業で成功した。島で女性ではじめて運転免許を取ったりした勇敢な女性であった。
SS島の移民について
1850年代に日本からの移民が始まったが、この時期日本は海外渡航は禁止されていた筈だが、漁師がより良い生活を求めて何らかのつてを得て密航したのではないか。その後漁師として雇われた。この島は、アメリカから多くの黒人奴隷や中国人などが自由を求めて逃げてやって来た。
SS島の日系人について
戦争前、22家族がいたので、日本の寺社や美術館や日本庭園などがある。今も、ムラカミの子孫の4家族が暮らしていて、マイノリティーである。

メディアでも殆ど紹介された事のない珍しい話題の紹介に、参加者は様々な質問をし、興味を示した。

2. Does Japan really need foreign nurses? Ms Pornpayong Koga from Thailand

スピーカー(Pornpayon さん)“日本は2015年には、4分の1人が65歳以上になると予想され、高齢化社会を迎える。そこで、高齢者の介護の問題に準備しなければならない。EPA 経済連携協定のプログラムで来ている看護士は3年以内、介護士は4年以内に日本人と同じテストを受け合格しなければならない。先月254人の受験者の内3人しか受からなかったこと昨年はゼロ人だった事を知った。

理由として考えられるのは、@言葉の壁 日本語をゼロから学ばなければならない A テクニカルタームは、日本人でも難しい。日本政府は、緊急にテストの難しさを考え直さなければ、このプロジェクトは、失敗に終わるだろう。 又、外国からの労働力(看護士や介護士)に依存することは、危険である。常に安定して得られるとは限らない。他の解決法があるとすればその方が良い。

政府は、何故日本人看護士を雇おうとしないのか? 結婚や出産後退職した元看護士や働いていない子育て後の主婦やフリーターに、看護の分野に引き入れるにはどうしたら良いか? それには、@ 訓練の為の教育費や宿泊施設をタダにして、その後は、就職を保証する。A この分野での仕事の所得税をゼロにする。 B 保育所は入れやすい場所に作り、安価で入れるようにする。

結論として、この問題は投資や長期的視点が必要であり、外国人労働者より日本人労働者に頼るべきである。 日本人にもっと投資して日本人看護士や介護士を得る方法を取ると日本政府は管理しやすいし、将来の労働力をより予見することが出来る。これは外国人を使うよりも、もっと投資が必要だし,もっと長期的視点が必要だが, self-reliance(自助努力、自力本願)を生み出す。テーマである始めの問いに対しての私の答えはNOだ。日本には潜在的な労働力があり、それらを使うべきだ。“
始めにスピーカー(以下S)と参加者(以下P)で、あれこれやりとりがあった。
 “私はもうすぐそういう(介護を必要とする)年齢に達するので、そのような制度が上手く機能すれば嬉しい。日本は急速に高齢化が進んでおり今後介護士の数が必要で、人口統計が良い形であれば、日本人から多くの人材が得られるであろうが、人口比がアンバランスである。政府のテスト重視は官僚的であり、この官僚的な態度を変えれば問題は軽減する。“
 “私は外国人看護士を雇う事に賛成だ。既に外国に人材がいて看護のスキルがあり、それを導入することが出来る。しかし言葉の問題は一夜で身に付くものでない。彼らは1日長時間働いて、夜どの位勉強が出来るのか? 又、外国人看護士は究極の解決策で、いつも外国から充分な看護士が得られるとは限らない。”
 “ 夜のシフトがあって、夫が出張だと子どもの面倒は誰が見るのか?だから結婚後の看護士は減っている。この問題が解決されれば、もっと日本人の看護士も増えるであろう。”
 “インドネシアの国立大学の日本語を学ぶ学生と会ったことがあるが、皆、微笑みsmile が素晴らしく、これこそが看護士や介護士に必要なことで、もっと日本人は心を開いて受け入れれば良い。外国からも国内からも並行して人材を得ること。問題は誰が面倒を見るかで、解決策はひとつではない。”
 “もし政府がこのやり方を変えないのなら、もしかて隠れた意図があるのかもしれないと思う。明確な証拠はないが、(外国人を)3,4年ごとに取り替えるとか、短期間使って帰らせるとかの。”
次にself-relianceについての意見
 “スピーカーのself-reliance の考えに賛成だ。看護士して家庭と仕事を両立するのは大変である。
日本人は、看護の分野だけでなく全体に働き過ぎだ。夫も含めてワークシェアリングが進めば、2人で働いて家庭生活を維持することが出来る。“
 ”スピーカーの言う(self-relianceに寄る)安全security の問題に賛成だ。(外国に頼る事が多い)食物やエネルギーの分野でもそうだと思う。“
そして文化の違いについて
 “外国人看護士を受け入れる時に文化の違いがあり受け入れにくい”
 “どこに行っても文化の違いがあるし、どこに行っても、そこで適応しなければならない。しかし言葉の壁は違う。”
Darylさん“カナダは(移民の国で)多くの違った宗教が存在して、色んな国の医者がいる。私は文化の背景や宗教は全然気にしない。”
再びどのようにして人材を確保するのか? 問題の解決について
オーストラリア人参加者“日本が投資して外国に日本語の看護大学を作ることが出来たら、そのような所から外国人で既に日本語の出来る看護士が得られ問題ない。゛
南アフリカ育ちの台湾人青年”日本人退職看護士の職場復帰問題の根が税制にあるのなら, ロビー活動をすることだ。小さなグループから出発しても、同じ意見を持つ人がいれば運動が勢いを持ち、あるレベルに達したら政府にアピールしてそのような法案を通すことが出来る。それは看護士の分野に限らずもっと広い分野でも、可能だと思う。“

 “ロビー活動は、(問題の当事者の)年長者から出されるべきだが、年寄は静かにすべきだと言うのがこの社会だ。゛
 ”どこの国でも同じだが、政治家は年長者が多いのだから、自分の近未来のこととして考えるべき。この問題の犠牲者は政府でなく、介護を必要とする高齢者と、看護士になりお金を稼ぎ、長く日本にいようと、夢見てやって来て、多くの経験も得られず何の収穫もなく帰国しなければならない人達とである。もしテストに落ちても,単に帰国期間を伸ばすことが出来る様になったとしても、帰国すればシステムの違いがあり、ここで学んだことが活かされない。帰国してもいちから学ばなければならない。日本政府がもっと柔軟になれば、事はもう少し簡単になるのだが。“
 “日本の医学のテクニカルタームは独語から英語そして日本語へと変化してきたのだから、やさしい日本語にも変える事が出来る筈で、そうすべきだが、時間がかかると思う。“
別の視点から
10代の女性 “日本の高齢化も深刻だが、途上国の公衆衛生も深刻であり日本政府は彼らの命をもっと守るようサポートすべきだ。゛
 “彼らも自国も解決すべき問題があることはその通りだが、インドネシアやフィリピンやタイのようなアジアの国は大家族主義で若い人は年寄を世話する。それがこんなに多くの看護士や介護士になろうとする背景にある。”

最後に
最後にモデレーターから 
“今日の2つの興味あるテーマをひとつに結びつけるのが, self-reliance の考えだ。SS島は、地域通貨で地元の経済を良くしよう自助努力(self-reliance )をしているし、看護士のこともスピーカーから、日本は自国の潜在労働力を使う自力本願(self-reliance) が大事だとの考えが出た。“

アンケート
回収22枚男性10名 女性12名。 10代2名、20代5名、30代2名、40代5名、50代5名、60代0名、70代3名
外国人“very informative! I was impressed with the discussion on Salt Spring Island & the Japanese aging society. It was interesting to hear the different opinions on these topics.” 10代“テーマの内容が難しくて分からない部分もあったけれど,色々な人の意見ガ聞けてとてもよかったです。”40代女性“思いも寄らぬテーマに考えさせられることも多く、日本人として、一人の主婦として、ここに来なければ知る事が出来なかったことを知ったり、考えたりすることが出来た。”

今回も国籍、性別、年齢超えた交流が確かにここにあった。(瀬戸)




主 催  横浜市青葉交流ラウンジ