やさしい英語でディスカッション #25


International Viewpoint through English

日 時 2009年11月15日(日) 午後2時から4時
場 所 青葉区区民交流センター 会議室#5

モデレーター ヘザー 池田 さん(アメリカ出身)
スピーカー1 Mr. Malin Matus(カナダ出身)
スピーカー2 Mr. Alexey Polishchuk(ロシア出身)



1.Attitudes in Japan : Barriers to language learing by Mr. Malin Matus
大学や会社で英語を教えているスピーカーは、“日本人の語学学習者の障害になっているのは主に二つ。1つはdiscussion をしても反対意見を唱えられないconformist( 他の多くの人々と同じような考えや振舞いを行う人)の態度。二つ目は間違いを恐れて喋ろうとしないperfectionist(完全主義者)の態度にある。又、語学を学ぶ事は価値あることであり、自分の態度や恐れなどの限界を克服し、自分を知る事でもある”と語った。

 それに対し“仕事でマレーシアに住んでいたが多くの人が英語を喋りレベルは色々で、低い人もそれなりにためらいなく喋っていて、その態度が上達に繋がっていた”と1つ目の意見が出て、その後次々意見が飛び出した。
 “日本人がperfectionistだとの指摘には賛成。しかしconformistには、必ずしも賛成ではない。日本の学生は、個人的には今や違った視点で意見を交わし合う”
 “(日本人が)conformistは、生まれついてのものではなく、育った段階でそうなる。衝突を避け、平穏である事に価値をおいているので、持って回った言い方をする”
 “日本人は他人の意見を尊重するので、議論を避ける。しかし実際は自分の意見をちゃんと持っていると思う”
 “conformistは、perfectionistになろうとしての結果だ。そしてperfectionistの態度は、日本独特の『恥の文化』(皆の前で恥をかきたくない)に深く根ざしている”等、スピーカーの論点に対し日本人としての視点が多くでた。

 次に外国人の女性から“自分は元来conformistではないが、日本語を勉強する時にはconformistになった。゛ハイ,ハイ゛と言っていた。しかし、英語を勉強する時にはperfectionist だ。間違いを犯しながらも間違いをしないようにするperfectionism がより上達する道”と違った視点からの意見も出た。
 
 次に英語を学ぶ動機についてタイの人が“読書が好きだが、タイではそんなに多くの(タイ語の)本が手に入らない。その為に英語で様々な知識を得ようと勉強した”など語り、その後様々な動機が語られた。“必要性が動機になり、動機が上達の道゛との発言があった。
 
 再びスピーカーからは“ある程度、正確さは必要だが、日本人の気にするLとRや、BとVは、そんなに重要な事ではなく、それよりcommunicationが大事。Situationによっては勿論正確さが必要で、ビジネスの会議等で正確さが要求されるのは当然だ”と語り、モデレーターは“グローバルな時代になり、若い世代では英語の必要性は増している゛と締めくくった。

2. Global warming:Environmental issues by Mr. Alexey Polishchuk

“一般には1997年の京都議定書採択後、CO2排出による地球温暖化が問題視されるようになった。CO2排出抑制の解決策として日本は“エコカー“(電気自動車やハイブリッドカー)の生産販売を先頭に立って推し進めている。しかし、これはCO排出を単に車のある所から発電所のある所に移しているに過ぎない。又 エコカーは、寒冷地には向いていない”と、ロシアの経済学者らしい論点を提示した。

 それに対し“電気自動車そのものが解決策ではなく、どこから電力を取るのかが問題で、究極のゴールは、太陽光発電や風力発電などのCO2”を出さないnatural energy と電気自動車組み合わせ。”と反論。スピーカーは,“green/natural energy の生産は、アメリカで2.8%、日本では2.5%に過ぎない”と応酬、 “勿論これらを今後増やさなければならない。”と参加者も応酬。スピーカーは“日本の前政府は,原子力発電に注目していた。”と指摘した。

 次に参加者からロシアについての発言が飛び出し,“ロシアの最近の急激な成長は石油生産頼みだ。しかし、世界中の多くの人は環境を考え、石油使用を抑えようとしている。ロシアは石油依存より新しい工業を緊急の課題として考える必要があるのではないか?” スピーカーは“そうだが、石油工業ももっとハイテクを導入してより効果的に石油を使うようにしないといけない。ロシアの石油は、日本やヨーロッパや世界中へ輸出され使用されているのも事実。”とかわし,“ロシアと日本は原子力発電のより良い開発に協力しているが、どう思うか?゛との質問には、”それも事実だが、日本は旧ソ連のカザフスタンやウズベキスタンで核燃料のウラニウムの開発をしている事実もある“と応じた。

 又、論点に戻り参加者から“CO2削減には全世界が協力して行うべきだが、これまでの所途上国は何も悪い事をしていない。この温暖化に加担したのは我々先進国であり、この問題の解決には先頭に立たなければ。”との発言。スピーカーは“現在のCO2二大排出国は、アメリカと中国で、アメリカは京都議定書に批准していない。この問題は先進国と途上国両方そして世界中全ての国の問題。”と発言。

 別の参加者から“中国は現在石炭を発電やその他のエネルギーとして使用しているが、これを石油に変え,その後原子力へというプロセスで、原子力に変えることが出来る。又 アメリカではCO排出による温暖化への否定論があるが、過去200年、CO2の排出が増え,温暖化が進んでいるのは事実だ。スピーカーは『エコカーはエネルギー効率が悪い』と述べられたが、石油を使うより効率が高い。大量生産によるコストダウン(スケールメリット)もあるし、エネルギーも持続可能なものを使用すれば良い”とそれまでの意見を整理されたような発言が出て時間となった。

 最後にカナダのスピーカーからは“カナダも日本やアメリカやその他海外の国からの資本で石油や天然ガス生産が行われていて、環境に良くない事をしている。我々が生活する時に石油なしのより良い道を模索すべき、例えば車に乗らずに、歩いたり自転車に乗ったりとか”との意見も出た。

3. Supplementary discussion

 二つのテーマで言い忘れたり、聞き忘れた事を尋ねたところ,“ディスカッションが語学向上に大事との話しだが,その機会がない。AFNを聞いたりCNNやBBCを見たりしているが役立つか?”との質問が出た。スピーカーは”その場合聞く事や語彙を増やす勉強などinput も良いが、1日の出来事を書いてみたりして、出来るだけ使う事outputも大事。自分で自分に話しかけるとか、それらの放送をテープに取りネーティブの英語を真似てみるのも良い“との答えた。 モデレーターからは”貴方は残念ながら高校生ではないが、現在の高校ではディベートに以前より重きを置いていて、意見を言う機会を作っている゛と、紹介された。

 今回もひとつは、゛やさしい英語“とは言えないディスカッションになった。しかしロシアの経済学者と言う立場へ興味からか男性の参加者がいつもより多く質問や意見が間断なく続き、いつもの様に議論は繋がったり、繋がらなかったりしながらも活発に展開した。英語がネイティブスピーカーだけのものでないと言うことも改めて実感できた。その意味では両方のディスカッションとも、今後若い日本人が世界へ考えを発信して行く時の何かヒントになる事を願う。外国人参加者の発言や若い女性の発言もあり、今回も国籍、性別、年齢を越えた交流があった。(瀬戸)




主 催  横浜市青葉交流ラウンジ