第103回インターナショナルトークサロン

エジプト社会はこう主張する

ゲスト:久山 宗彦氏(カリタス女子短期大学学長)

日 時: 平成18年7月22日(土) 午後3時〜5時30分
場 所: 藤が丘地区センター
参加者: 59名[一般41名 ゲスト4名(ネット上のカイロ大学生3名を含む) スタッフ14名]

 第103回トークサロンは初の試みとして青葉区民ポータルサイト「あおばみん」の協力を得て、藤が丘会場とカイロをインターネットで結び、両会場はリアルタイムで久山学長の基調講演を伺い、後半はエジプト会場に参加のカイロ大学文学部日本語学科卒業生と現役の3名;ノラさん、リームさん、マイさんと久山学長へ藤が丘会場参加者からの質問に応答するという形で、音声に難があったが、会場に映し出された鮮明な映像をみながら終始和やかに行われた。

 久山学長の講演で印象深かったのは中東を含むアラブ地域では人生にとって宗教は必要、不可欠であり、宗教を感じて生きている。キリスト教を含む啓示宗教では聖典をベースにしないと物事が始まらなく、自由の考え方、見方も日本では束縛と取る人が多いが、神の前での自由であり、開放されたものと感じ取っているとのことでした。

 カイロ大学生達の日本語の理解度は素晴しく、会場からの質問に的確に、率直に、時にユーモアを交えて応答。結婚に関しては日本のように同棲してから結婚というのは考えられないこと。男女が付き合うのは結婚を前提としてか考えられない。結婚生活を通してお互いを知っていくことが大切だと。エジプトでは男女は平等・同権である。時に男性が平等になるよう求めているとも。イスラム教徒は一夫多妻(妻は4人まで)を許されているが、条件があり、公平に扱われないといけないのでエジプトでは難しい。また世界遺産や文化財へは学校で見学に行くが興味のあるのはむしろそこに来ている外国人観光客かもと。一日、一年の生活に関して、一日に5回祈り、用事、活動、バイト、遊んでいてもお祈りは忘れない。夕方はテレビを見たり、読書したり、6月に大学を卒業したノラさんは昨年は試験に集中していた。それでも友達と旅行もした。今は日本語を生かした仕事を探していると。
 
 久山学長はアラブの民主化についての質問に対して、アラブにとって民主は大切であるが、アメリカの民主主義を中東地域に取り入れることはありえないだろう。中東では宗教的指導者を尊敬し、一般人はそういう人々に従い、一人ひとりの判断・選択を大事にしていきましょうということから民主化していこうとしていると。
 
 今回のトークサロンはネットを介してのまさに国際交流・理解の場になれた点では画期的なことであり、今後はさらに音声等の改善を克服して世界のあらゆる地域とも会議が可能になるのではという感触を得ることができた。

 

当日の会場風景

横浜市青葉国際交流ラウンジ横浜市藤が丘地区センター共催