日時:平成16年5月22日(土)午後6時〜8時15分
場所:横浜市青葉国際交流ラウンジ(青葉区役所別館2階会議室)
参加人数:48名(ゲスト2名、一般参加者33名、取材1名、世話人12名)
ゲストのシヴァクマールさんはサリー姿の美しいプリヤ夫人同伴で、日本の国土の9倍の広さを持ち、北は世界最高峰ヒマラヤ山系、南はインド洋、ベンガル湾、アラビア海の3つの海に囲まれ、変化に富んだ地形と文化が混在しているインドの人々や言語における多様性、現在のインドにおける宗教、カースト制度、結婚の形態、コンピューター関連、お奨めの観光地等を熱心に話して下さいました。
シヴァクマールさんは南インド出身で物質科学及びセラミックス工学修士課程を経て来日。名古屋工業大学で博士課程を終え、東京大学研究室に。現在は筑波国立物理科学研究所に勤めていらっしゃいます。一方プリヤさんはインドで電子通信工学士を取得後1年前にシュヴァクマールさんと結婚、来日。新浦安のインターナショナルスクールで英語教師をこの4月から始められました。始めにインドの公式セレモニーで必ず歌われる自然を賛歌する歌をプリヤさんが歌って下さってトークの開始。
インドの人口は10億余りといわれているが実際は11億ぐらいである。中国ほど徹底してはいないが、現在のインドでは一世帯二人っ子制度を取っており、これからは人口の伸び率が低くなるのではと。インドは26州あり、ヒンディー語が標準語であるが、18州には独自の公式言語があり、他州へ行けば外国語のようで分らないとのこと。英語は共通語で、コミュニケーションの85%は英語でなされている。インドの季節は地域によって異なるが大きく分けて、雨季、乾季(冬)、暑季(夏)の3つ。日本人が始めて旅行するには12月〜2月がベストシーズン。その他の季節でもヒマラヤの麓や南の高原、あるいは南のビーチで過ごすのもおすすめ。
現在インドにおける宗教に関して、ヒンドゥー教徒82%、イスラム教徒12%、キリスト教徒2.4%、シーク教徒2%、仏教徒その他2.5%。その中で、最近就任したばかりのマンモハン・シン首相はシーク教徒で、シーク教徒では初めての首相。国民の大多数を占めるヒンドゥー教はインドの社会生活と密接に絡み合っており、多くの神々は自然崇拝である。したがってその為の祭りも非常に多くある。ガンジス川はシバ神の頭から水が湧き出し川になったといわれている話、ドゥルガ神には手が沢山あり、悪人は裁かれる話、また神を祭る南インドの踊りでは金をつけて踊る姿、一つの岩に彫刻を施して造った寺院、これら全て映像で紹介して下さった。
カースト制度について、1947年独立後の新憲法ではカーストによる差別を禁じており、法的にはカースト制はないことになってはいるが、現実のヒンドゥー社会では、4つあるいは5つに区分されるカーストを受け入れ、それぞれの分を守ることで、生活が保証され、同一カースト内では互いに助け合う面もある。特にカースト制度の中で問題となるのは不可触民で、社会の底辺で労働力を提供しているにも拘らず地位は非常に低く、寺院にさえ入れてもらえない。現在インド政府では一億人ともいわれるそれらの階層の人々の10%には教育を受けさせる法律を制定し、大学や企業に受け入れることを義務ずけ、将来性が出てきている。しかしながら大多数は差別に苦しみ、キリスト教、イスラム教に改宗する者も増えてきている。
最後に結婚制度について、インドでは結婚が神聖視されており、結婚の75%はお見合い婚であり、殆どは親が決める。しかし都市部ではカースト制度のひずみ等で、かなり恋愛結婚が増えてきていることも現実とのこと。普通親は結婚させたい子供の写真を添えて仲人に頼んでおき、家族的背景と子供が生れた時記載されたホロスコープが重要視されて相手が選ばれる。
以上、2時間をかけて多様性あふれるインドについて話して下さいましたが、さてタイトルにある統一は何でなされているのかは、インドのいたるところ何処へ行っても “UNITY IN DIVERSITY” という言葉が唱えられているということから、多様性に満ち溢れているだけ国だけに一つにまとまっていることの必要性と重要性をシヴァクマールさんは感じてタイトルに選ばれたのではないでしょうか。
トークの最後はゲストのお二人と参加者の中にいらしたインド人女性二人を加えて4人でインド国家斉唱で締めくくって下さいました。
当日の会場風景: ゲストお二人、前回ゲストのクリスタルさんと、会場、インド国家斉唱
横浜市青葉国際交流ラウンジ・横浜市藤が丘地区センター共催