講師:香道弍條御家流宗家 弍條為光宗匠
2月29日午後1時30分から開催された講演会「雅の世界にご案内」は、ラウンジの催しとしては異色の、あでやかな貴族文化の香りに満ちたものでした。いみじくも講師の宗匠が講演後に感想を漏らされたように、日本文化の粋は我々現代の日本人にとっても異文化であったのです。
日本伝統文化の中で、茶道、華道と並んで三大芸事のひとつとして数えられる香道。でもその中では、日本人にもあまり馴染みが少ない香道と雅楽に焦点を当てて、「雅な世界にご案内」と題し、香道の弍條御家流 弍條為光宗匠をお迎えし、講演、香道と雅楽の演奏、予定外の聞香(マナバン)――これはほとんどの方が初めての経験――、そして和歌の読み上げと盛りだくさんの内容でした。
香道は奥が深く、庶民には縁遠く思われますが、古代に倒木し化石化した香木を貴重な資源として大切に扱い、今日に及んだ日本の香道は、有限の資源を有効に使用する日本の知恵の象徴として、現代的意味を持っているようです。インドやマレーシアの地名を現す香木の名も教えて頂き、興味深い講演でした。聴衆が思わずうなずく軽妙な語り口の中に説得力を秘めた宗匠の講演は迫力と印象に富み、聴衆をひきつけました。
千利久が、織田信長から、蘭奢待を渡され今に至っている事や、弍條家にも皇室より拝受の銀のご紋章いりの蘭奢待が秘蔵されている事など興味深いものでした。
紅い毛氈の上に座った若い楽人の雅楽の生演奏は初めての方が多く、雅な世界でひと時を過ごしました。また聞香の感想を和歌に詠んだ聴衆の投稿の中から宗匠が選んだ数句を、和歌朗詠の古法にのっとって朗詠していただき、一同うっとりと拝聴しました。
スタッフによる和菓子と抹茶の接待も堪能して頂き、参加者のみなさんも、日本の古代から伝承された貴族文化の奥深さにひと時浸られたことでしょう。
身振り手振りも面白く話される宗匠 熱心にメモを取る参加者の方
國學院大學青葉雅楽会の皆さんの雅楽演奏、 笛、笙、ひちりきの三管楽器で三曲披露された
聞香の作法を教えていただき、マナバンの香炉が参加者にまわされた
宗匠の和歌の朗詠に聞き入る入選歌の作者の方
主催:横浜市青葉国際交流ラウンジ