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講演会 日露戦争100年


 1月15日の講演会は前夜の雨も上がり、好天気に恵まれて第5会議室がほぼ満員の盛況だった。講師はアメリカメジャー野球の名解説で有名な慶応大学名誉教授池井優氏。


 明治維新から40年足らずしか経っていない新興国日本が大国ロシアに対して宣戦布告したとき、日本有利と予想する外国人はほとんどいなかった。日本が戦争の費用を賄うため外債を集めようとしても応募者がほとんどいない状況から始めざるを得なかった。

 しかし日本の世論はマスコミに煽られて沸騰し、いよいよアメリカの斡旋によって、ロシアとの講和会議がポーツマスで開催されるときには、小村外相(全権)を送り出す群衆は熱狂的だった。一方、伊藤博文は小村に向かって、「君が帰国するとき誰も迎えに来ないだろうから、私が一人でも出迎えよう」といったという。

 講演会の講師、池井教授は日露戦争の勝因は(1)英米の協力(2)政略、戦略の一致(3)武器と兵士の差(4)ロシア国内の革命不安を挙げられ、また日露戦争の勝利がもたらしたものについて(1)日本人に大勝利の誤解(A)日本人に大国意識の芽生え(3)日米関係の悪化(4)朝鮮併合を挙げられた。

 両者を見比べると、まさしく今日の日本の教訓となっていることがわかる。
講演は豊富なエピソードを交えて判りやすく進められ、あらゆる角度から寄せられた1時間近い質疑の中でも説得力のある事例を挙げて解説された。